四季報ガイドブック

会社四季報から、公式ハンドブックなるものが発売したので買ってみました。
来月四季報読書会のオフ会で銘柄発表をしなくてはいけないので、今回はこの本を参考に四季報を読み込んでいこうと思い購入をしました。

しかしながら、この公式ブック思いのほか、しっかり書かれておりビックリしました。
四季報の企業情報について、一つ一つ詳細に書かれています。
四季報をあまり活用していない読者でも、企業の分析する上でのポイントを理解できるのではと思います。
一つ一つの財務指標について、見るポイント・解説されている。
銘柄を探すポイントや、四季報オンラインの活用方法も書かれている。(スクリーニングの方法など)
四季報を見るときにどういうところに注目していることが書かれている。
経験値の高い人には、あまり目新しい事はあまりないかもしれまんが、財務についてこれから勉強したい方にはおすすめではないかと思います。
ページ数も、それほど多くないし、図の解説もあり、重要な部分はマーキングされているので、初心者向きな書籍ですね。
 わからない用語などあれば、これを見れば、理解が深まるのではないかと思いました。

目次

第1章

四季報の見るポイント

四季報記者の予想の立て方

決算短信・決算説明資料・取材から商品の販売単価・数量・原材料価格・販促費・為替ルートといった会社計画の前提条件を確認。
②同業他社の取材・マクロ経済環境を分析
③業績の進捗率・小売であれば、月次の売上状況推移を参考

※弱きな計画を出す傾向の会社イメージ
原材料・部品を作っている会社。経営トップが経理出身。為替は変動が大きいために慎重にレート設定している。
※強気な計画を出す傾向の会社イメージ
最終消費財を作っていて、強気の販売目標を立てている。経営者が営業畑出身。業績が悪化している会社が裏付けなく利益回復の計画を出すことも

四季報の活用方法

一回目:好調さを示す見出し・会社予想比マークをチェック
二回目:付箋をつけた会社の業績を確認。
三回目:会社の記事をじっくり読み、チャートを確認し、投資を検討。

各号の使い分け

春号:今期と来期の増減に注目(記事の半分は来期・見出しも来期が対象)
夏号:前期の業績が揃うタイミング。前期と今期の増減に注目
秋号:1Qの決算の実績を踏まえ変化がないか?会社計画の狂いが生じていないか?四季報の独自予想が出てくる。
新春号:サプライズが多い。独自増額が多い。四季報予想と会社予想を比較

第2章

会社の基本

会社の利益の源泉がどの事業が把握。どの事業が儲かっているか見る。
過去の四季報を比べて、事業構成の変化。個々の事業の収益貢献度の変化を見ることができる。
競合他社との比較にも、連結事業を活用。各社の強みも把握
海外売上比率でグローバル化を診断。

小売業などは過去の四季報を比較することで、店舗数の増減を知ることができる。
同業他社と比較して、どのエリアが強いのか知ることができる。

従業員から、人員の生産性を測る。過去の四季報から従業員の増減を調べる。
平均年齢から会社の活力・将来性を見る。年収は同業他社で比較。

社長交代がいつあるか見る。社長交代した場合前職はなんだったのか確認。
仕入れ先・販売先にも注目。連想買い(ある企業の株価が上昇したとき関連する企業も連鎖的に買われる)

第3章

儲かっている会社はこんな会社

会社計画と四季報予想を比較→その会社の業績が強気か弱気に見ているかチェック。
売上が利益の源泉:売上の伸びと利益の動きを見る
営業利益:前期からの伸び・売上の割合。(本業の稼ぐ力)
売上総利益を見る上で、在庫にも注目。在庫が過去に比べて、異常に膨らんでいないか見る。
原価:原材料費・労務費・光熱費・外注費・減価償却費・商品など
一般管理費:間接部門の人件費・家賃・光熱費・減価償却費・研究開発費・
販売費:営業所の家賃・人件費・販売手数料・広告宣伝費・運送費

※どの費用がいちばん営業利益の影響を与えているかチェック
経常利益:持分法適用の関連会社の損益も反映。
連結決算では、子会社は全て連結される。(決算に反映)

※グループの損益状況を把握することができる。

見出し:今期の営業利益予想を対象に書いている。
過去の実績の比較・四季報前号との比較
伸び盛り・右肩上がり:業績の勢いが続いている。
再加速:利益の伸びが再び勢いが強まりそうな局面。

※絶好調・飛躍・最高益に注目。
注目する見出しは独自増額。連続最高益・最高益も企業の好調さを示す。
最高益・連続最高益は純利益が対象それ以外は営業利益が対象 独自増額は会社計画が比較対象。

会社の業績動向の分析:数値だけ見て判断するのは不十分。
増益でもどの製品・サービスが伸びているか?今後の成長性が変わってくる。主力事業が順調に拡大しているか?他部門が一時的に好調で利益を押し上げている場合で
来期以降の成長に疑問符がつく
業績欄:事業別の売上・原価・販売費・一般管理費などの利益の増減要因を記述。
※業績欄のコメントからよい増益か悪い増益かがわかる。


4章

将来性のある会社の見つけ方

材料欄:中長期的な成長について記述
小売業の成長の源泉:新規出店と既存店売上の底上げ。
既存店の売上拡大:販売商品・食事メニューの刷新。店舗改装・業態転換も必要。
どのエリア・立地で将来的に何店舗新設・改装するか?
製薬会社・ハイテク企業など新製品の開発競争が激しい業界は研究開発の動向が会社分析に必須。

会社が公表する中計は、努力目標的な数値が打ち出されており、達成が至難なものも含まれる。
短期間で企業の成長力を高める手段として、M&Aがある。
M&Aの狙い・シナジー効果を見る。M&Aの収益のインパクトを見極める。

※材料欄にリスク情報の記載がある場合は、マネーゲーム的色彩が強まっているので、短期的な売買が多いので注意。

長期的な成長力を予測

設備投資・減価償却・研究開発の3つをチェック
減価償却費は、利益に対してマイナスの影響を与える。大半は過去の設備投資を行った時点で支払いが終了。財務上はフリーキャッシュフローの一部であり、
今後の資金需要に向けた内部留保
※設備投資が減価償却額を上回る場合は、事業拡大意欲が旺盛。
減価償却を超過する額は手元資金で充当するか?借入金など負債による調達。増資など金融市場から資金を調達するなど
どうやって資金を捻出するのかにも注目する。
設備投資・研究開発費の成否を判断する上で、投資金額以上の資金を回収できるか?

過去の10年の業績推移から、過去どのような成長ストーリーを描いてきたのか?
着実に伸ばしてきたのか?好不調の波があるのか?何をきっかけに成長ステージに入ったのか?
赤字・営業CFマイナスが続いている会社は、自己資本比率の水準を確認。

増資には、公募増資(不特定多数の投資家から調達)第三者割当増資(特定の取引先・金融機関から新株を引き受ける)株主割当増資(既存株主に新株を割り当てる)
増資の目的:順調に事業展開している企業のケース。財務内容の改善で、純資産の増加・負債の返済が目的
増資の得た資金の使い道に注目(資金をどれだけ成長性の高い事業に投じるか?)成長事業への設備投資・研究開発・M&Aも小売・外食では、出店・改装費用の充当


営業CF マージン:売上に対して、営業CFを効率的に生み出したか?
営業CF 有利子負債比率:高ければ、債務能力が高い。

業績と資本異動を合わせて読む。

PERを見るとき資本異動を合わせて読む
合併・株式交換により売上・利益が急拡大することがある。
ある会社が、売上が突然増えた場合は、資本異動を見る
合併・交換とあれば、合併・買収による拡大。(利益は増えても、一株利益は変化なし)
※その会社のM&Aに対する姿勢・株主に対する考え方を推し測ることもできる。

5章

安全な会社はどう探す?

持続性成長性は、収益力と信用力で測る。
成長株を好む投資家ほど安全性への注意が重要。
業績・財務・キャッシュフローを併せて読む

財務欄
総資産:調達資金の総額(会社の規模)がわかる。総資産の増減で、成長性を把握
資産がただ増えているだけでは✖️成長性・収益性・安全性のバランスを見る。

収益性はROEで確認。安全性は自己資本比率で確認。
会社が積極投資している時期は自己資本の改善も容易でない。
自己資本を増やすには、純利益の増加・利益剰余金が積み上げが必要。

利益剰余金:過去に稼いだ利益の積み重ね。
自己資本が多いと、安全性は上昇。収益性は低下。(ROE)

金融市場の混乱時には、安全性が重視。自己資本比率より、目先の資金繰りが注目。
総資産のうち短期間で現金に換金しやすい流動資産。特に当座資産(手元流動性・現金の多さが重要視される)

ネットキャッシュ÷総資産は、数値が高いとキャッシュリッチである。
(期末現金-期末有利子負債)÷前期末総資産で計算
ネットD/Eレシオは、低い方が、財務が安定
(前期有利子負債-前期現金)÷前期自己資本✖️100

減資には注意
利益剰余金がマイナスになり、利益準備金・資本剰余金・資本準備金が取り崩され、利益準備金資本準備金が取り崩され
さらに 資本金を減資する→利益剰余金の欠損を填補することもある。

債務超過が2年以上続くと原則上場廃止。 債務超過:手持ちの財産を売り払っても負債を返せない状況
安全性を社債の信用格付けで点検
BBBまでは、投資適格とされ、BB以下は、信用力に懸念があるジャンク債。


※B/Sから、資金の源泉と資金使途の照合しやすくなる。

6章

株価を動かす要因

相場を動かす主役は外国人投資家
外国人投資家は、時価総額が大きく、流動性の高い主力企業・高収益企業・株主還元に積極的な会社・ガバナンスを重視する会社に投資する傾向
機関投資家の動向もチェック

株式市場はサプライズに反応しやすい特性
四半期決算もチェック(四半期進捗率に注目)
業態により季節的要因がある。建設は、年度末に集中。システム開発も官公庁向けは年度末に集中。
業種・企業の商習慣を知った上で、活用する。

株主還元に積極的な会社
配当性向も重要
自社株買いの動向にも注目。自己株式を消却すると株主から評価される。
償却されると、再度市場に出回ることがないので、株価下落リスクがなくなる
連続増配していても、配当利回りが高いとは、限らない。

市場テーマ:いつから業績に影響するのかが大事。
テーマ先行で、市場が盛り上がっても、テーマに沿っていても、業績に伴わない場合もある。
テーマで注目すべき会社を見つけたら、関連して恩恵を受ける会社を探す。
仕入先・販売先に注目する。比較会社などの競合他社にも注目
テーマで関連する会社や2番手・ 3番手企業の動向もチェック

高いPERは、投資家の企業の対する期待の表れ
PERは、業種や企業の成長期待により大きく異なる。
過去や他社の比較もする。
ROAは、会社全体の収益力を分析できる。

7章

売買チャンスはこうつかむ

流動性をまずチェックする。
流動性:売買の厚み。流動性出来高でチェック
時価総額を基準に個々の銘柄の流動性リスクを判断
特定株が多い一方、浮動株が少ない事で、値動きの軽さがわかる
外国人・投信が多く、流動性の高い銘柄がよい
売買の活発さ:信用取引の対象か?も有益
1部に上場している会社ほど、流動性が高く、新興市場流動性が低い傾向。

テクニカル分析

十字線:相場の転換点を示している。
下値圏での長い下ヒゲ:相場の底打ち。
高値圏での長い上ヒゲ:相場の天井

移動平均線で株価トレンドを調べる。
向き:株価の上昇局面か下落局面かBOX圏かがわかる
傾き:相場の強弱を示す。傾きが急になれば、トレンドの加速、緩やかになれば、トレンドの減速
株価位置:強気相場になりやすい。
移動平均線は、相場の加熱度合いを計る指標としても有効。

信用買い残:多いと、今後6ヶ月に売りが出てくる可能性。株価の上値を抑える要因。
信用売り残:買い戻しの圧力が大きく、株価の下支え。
出来高は銘柄の人気度を測るバロメータ


8章

お宝株発掘テクニック

1.業界首位・世界トップ企業

他社にない強力な値上げという武器がある。(トップ企業の値上げはプラス)
値上げは、業績の大崩れを防ぎ、利益の急増をもたらす

2.収益構造を知る。

上方修正したのに何故下落したか?
その企業の修正の内容を確認。利益の成長の源泉に鈍化が出れば、売られやすい。
そのためにも、利益の源泉・成長の理由を見る上でも、収益構造を理解する。

3.四季報を読む醍醐味は気づき。

事実を知る。変化に気づけるか?
平均年収の変化。(ベイカレント・キーエンス・北の達人)
大戦略は、一人当たり売上・利益で検証する。

4.最高益のパターン

①毎年最高益を更新するパターン
②景気・新製品サイクルに合わせて、数年おきに最高益を更新するパターン
③久しぶりの最高益企業(これが、株価インパクトが高い)
自己変革を進め、苦しみながら、収益力回復に成功するパターン(ソニー・日本KFC)
社会の変化が追い風になり、旬な会社になるケース(ニチバン・日本空港ビルデイング・帝国ホテル)←インバウンド需要
和弘食品←人手不足(外食・コンビニ)
※時代のニーズを捉えたヒット商品・サービスがあるか見ていく。

5.売上から見えるヒント

売上と時価総額の比較
売上が100億以上の会社は、PSRが1倍以上の方が、投資妙味がある。
売上と有利子負債と比較
売上以上の借金は返せない恐れがある。
総資産回転率:資産がどれだけ有効に活用されたか?

6.地方発祥のオーナー企業

テンバガー:オーナー企業・上場5年以内の企業